現代文が苦手な人がまず身につけるべき「型」とは?

─ 高校入試・共通テストにも効く、読解力の“思考ルール” ─

「本文は読めた気がするけど、設問でいつも迷ってしまう…」
「どれも正解に見える選択肢の中から、勘で選んでいる」
「読んでいるうちに、話がどこへ向かっているか分からなくなる」

現代文・英語問わず、「長文読解が苦手」という悩みは、受験生・保護者共通の不安材料です。特に、共通テストや高校入試のような時間制限のある試験では、読解スピードと精度の両立が求められます。

では、「読解が得意な生徒」と「苦手な生徒」は何が違うのでしょうか?
語彙力?集中力?読書習慣?

確かにそれらも影響はします。しかし、最も大きな違いは、「読み方に“型”があるかどうか」です。

この記事では、長文読解に苦手意識のある生徒が、まず最初に身につけるべき「読解の型」について、具体的に・体系的に解説します。


読解力は“センス”ではなく“構造把握”の技術

読解力を「センス」や「感覚」と考えている人は少なくありません。しかし実際は、読解とは構造を見抜き、筆者の意見や主張を論理的にたどる作業です。

つまり、「才能」ではなく「技術」であり、「運」ではなく「型」です。

野球にバッティングフォームがあるように、文章にも“読み解くフォーム=型”が存在します。読解が苦手な人ほど、本文を上から順にただ“眺めて”いるだけで、構造の把握や主張の抽出を意識できていません


読解に必要な「3つの型」

長文読解を攻略するうえで、最低限身につけるべき読解の型は以下の3つです。


型①:文章の“骨組み”をとらえる【構造把握型】

多くの文章は、以下のような論理構造で組み立てられています:

  • 問題提起(問い)
  • 主張(答え)
  • 根拠・理由
  • 具体例
  • 結論・まとめ

この「型」を意識して読むだけで、文章の“どこが重要か”が見えてくるようになります

たとえば、接続語に注目してみましょう:

接続語役割
しかし・だが逆接 → 筆者の主張がくる
つまり・要するに要約・結論
なぜなら・その理由は根拠提示
たとえば具体例の開始

文章を「意味の連なり」として読むのではなく、「論理の地図を描く」ように読むのが、現代文における読み方の基本です。


型②:「主張」を特定する【中心メッセージ抽出型】

どれほど長い文章であっても、筆者が本当に伝えたいことは多くの場合1つの主張に集約されます。
この「主張」を見つけることができれば、選択肢問題の判断軸が明確になり、迷いが激減します。

主張を見つけるコツ:

  • 逆接のあとを読む:「しかし」「だが」などの後にくる内容は筆者の本音
  • 「私(筆者)は〜と考える」系の表現:「〜だと筆者は言う」「〜べきである」など断定調に注目
  • 冒頭と結末を読む:問題提起と結論は冒頭と末尾に配置されやすい

選択肢に迷ったときは、「この選択肢は筆者の主張と一致しているか?」という視点を持つと、選びやすくなります。


型③:問いから逆算して読む【設問誘導型】

多くの人がやりがちな失敗が、「本文をすべて読んでから設問を見る」という流れ。
これでは、「どこに注目して読めばいいか」が曖昧になり、時間と集中力を消耗してしまいます。

そこで有効なのが、

設問→本文→設問再確認

という「問いから読む」スタイルです。

たとえば:

  • 「第3段落で筆者が述べたことに最も近いものは?」
    → ならば第3段落は特に注意して読むべき
  • 「『A』という言葉が指す内容として正しいものは?」
    → 『A』の前後に注目して、指示語の内容を精査する

このように、「設問が地図」「本文が現地情報」と考えると、読解は効率よく進みます。


保護者の方へ:読解力を伸ばす家庭でのサポート

読解は家庭での“読み聞かせ”や“対話”によっても育てることができます。

  • ニュースや記事を一緒に読み、内容について一言感想を聞く
  • 「なぜそう思ったの?」「他の言い方をするとどうなる?」など、思考を深める質問をする
  • 読んだ本や文章の「主張」を要約する習慣を作る

こうした日々の小さな対話が、思考の言語化力=読解力を育てる基盤となります。


おわりに:読解は「方程式」と同じ。型を知れば解ける。

長文読解に苦手意識があるのは、決して能力のせいではありません。
むしろ、「どう読めばいいか」を教わらずにここまで来たことが、最大の原因です。

読解には“型”があります。
この「読み方の設計図」を手に入れれば、どんな文章も構造的に、論理的に、冷静に読み解くことができるようになります。

今日紹介した3つの型:

  • 構造把握型
  • 主張抽出型
  • 設問誘導型

この3つを意識するだけで、あなたの読解力は確実に「感覚」から「技術」に進化します。

「読めばわかる」は卒業し、「読み方がわかる」状態へ。
そこからが、本当の読解力のスタートです。