【読書嫌いでも大丈夫】現代文に強くなる“読まない読解力”の鍛え方
「うちの子、現代文だけはどうしても点が取れないんです…」
そんなご相談を、これまで何度となく受けてきました。
そして続けてこうおっしゃる方が少なくありません。
「小さいころから本を読まなかったからでしょうか?」
たしかに、読書量と読解力には一定の関係があります。
しかし、読書が苦手=現代文ができない というのは、必ずしも正しくありません。
現代文で高得点を取るために必要なのは、
“たくさん読む力”ではなく、“論理的に読む力”です。
今回は、読書嫌いな子でも現代文が得意になれる、
「現代文の読み方の“型”」についてわかりやすくお伝えしていきます。
■ 現代文が「国語」ではなく「論理」の科目である理由
まず大前提としてお伝えしたいのは、
現代文は「センス」や「感性」で解く科目ではないということです。
特に入試問題においては、筆者の意見・主張の論理構造を把握し、
設問に対して客観的に正解を選ぶ必要があります。
つまり、必要なのは「読解センス」ではなく、
文章の構造を分析する“論理的思考力”です。
これは読書が好きか嫌いかとは無関係。
訓練によって、誰でも身につけることができます。
■ 「現代文が苦手な子」に共通する3つの誤解
① 「キーワードだけ見れば正解できると思っている」
設問の該当箇所に似た言葉がある選択肢を選んでしまう子は多いですが、
これは現代文において最も危険なパターンです。
重要なのは、文章全体の論理の流れです。
似たような表現があっても、筆者の主張とズレていることはよくあります。
② 「自分の意見で読んでしまう」
「私だったらこう思う」
「この表現はおかしい気がする」
こうした“自分目線”の読解は、現代文では通用しません。
大切なのは、「筆者がどう考えているか」という他者視点の読解力です。
③ 「読書量が少ないからダメなんだ」と思い込んでいる
これは最も残念な誤解です。
読書量に自信がなくても、読み方のコツさえ押さえれば成績は上がります。
■ 読書が苦手でも点が取れる「読み方の型」
STEP1:段落ごとに「話題」と「筆者の意見」を把握する
段落を読んだら、
- 「この段落では何について述べていたか?」
- 「筆者の主張は肯定か否定か?」
この2点を意識するだけで、文章全体の構造がつかめてきます。
段落ごとに小さくまとめる習慣をつけると、論理の流れが見えやすくなります。
STEP2:「対比」と「因果関係」を見逃さない
現代文では、「Aに対してB」「AだからB」といった論理の接続が頻繁に登場します。
これを意識するだけで、
「筆者が何を言いたいのか」が非常にクリアになります。
たとえば、
- 「〜だが」「しかし」:逆の立場を示す
- 「なぜなら」「だから」:因果関係を示す
こうした接続語を目印に、「筆者の主張」を特定していきましょう。
STEP3:選択肢は“消去法”で読む
現代文の選択肢問題では、「正解を選ぶ」よりも、
「明らかに間違っているものを消す」ことのほうが重要です。
選択肢の中には、
- 文中には書いていないことを断定しているもの
- 一部の表現だけを引き延ばしているもの
などが含まれており、丁寧に消去していけば、
消去法で正解にたどりつける設計になっています。
■ 家庭でできる“現代文の勉強サポート”
読書嫌いな子に「本を読みなさい」と言っても逆効果。
それよりも、次のような関わり方が有効です。
✔ 学校の教材や過去問を使って“読み方の練習”を繰り返す
短い評論文や説明文を使い、
「この段落は何を言いたかったの?」と聞くだけでも、
論理を意識した読解トレーニングになります。
✔ 子どもに“正解の根拠”を言語化させる
「なぜその選択肢を選んだのか?」を説明させる習慣をつけると、
読解の精度が一気に上がります。これは親子の会話でも可能です。
「なんとなく」ではなく、理由を言える子は確実に伸びます。
■ おわりに:現代文は“論理のスポーツ”だ
現代文は、読書家だけが勝つ科目ではありません。
文章の構造を見抜く力を磨いた子が、着実に点数を伸ばしていきます。
もしお子さんが「現代文が苦手」と感じているなら、
読書の有無ではなく、「読み方の型」が身についているかを見直してみてください。
読書が苦手でも、論理で勝てる。
この視点でサポートできれば、お子さんの現代文に対する見方も、きっと変わっていくはずです。