理科の記述問題で失点しないための5つのコツ
─ 共通テスト・高校入試で差がつく「書く力」の磨き方 ─
「書いたのに点がもらえなかった」
「合ってるはずなのに、なぜかバツになっている」
「理科の記述問題になると、どう書けばいいかわからない」
理科が好きでも、記述問題になると急に自信をなくしてしまう生徒は少なくありません。保護者の方も、「うちの子、選択式はできるのに記述問題になると点が取れない」と感じることがあるでしょう。
理科は“知識科目”でありながら、“説明力”が求められる教科でもあります。
とくに高校入試や共通テストでは、記述で差がつく時代。
本記事では、理科の記述問題で確実に得点するための「5つの具体的なコツ」と、「練習方法」「保護者の関わり方」まで、丁寧に解説します。
なぜ理科の記述問題で失点するのか?
まず押さえておきたいのは、「正しいことを書いた=正解」ではないという点です。
理科の記述問題は、次のようなポイントで採点されます:
- 「問いに対して適切に答えているか」
- 「理由や仕組みが論理的に書かれているか」
- 「用語の使い方が正確か」
つまり、内容が合っていても「書き方」が不十分だと減点されるのです。
たとえば:
✕「水が蒸発したから」
→ 何が、どこから蒸発したのかが不明。文脈の不足。
◎「加熱によりビーカー内の水が蒸発し、水蒸気となったから」
→ 主語・述語・因果関係が明確で加点対象。
では、どうすればこうした記述が書けるようになるのでしょうか?
理科の記述問題で失点しないための5つのコツ
コツ①:設問文の“条件”を絶対に見落とさない
理科の記述問題には、「〇〇を使って答えよ」「〇〇という用語を用いて説明せよ」という条件がよく含まれています。
これを見落とすと、それだけで0点または大幅減点になるケースも。
✅ 実践ポイント
- 「〇〇を使って答えよ」は → 必ずその語を入れる
- 問いの主語・目的語を抜き出して、そのまま文に取り込む
- 条件部分には必ず赤線を引くクセをつける
コツ②:原因→結果の“論理構造”で書く
理科の記述で最も重要なのは、「なぜ?」「どうして?」に対して因果関係を明確に書くこと。
✕「水が減った」→ 観察結果の説明で終わっている
◎「水が加熱により蒸発し、気体になったため、水の量が減った」
→ 「なぜそうなったのか」が説明されている
✅ 使える接続表現
- 「〜ため」「〜から」「〜ことにより」
- 「まず〜、その結果〜」の二段構えで書くのも有効
コツ③:「正確な語句」を使う
国語のようにふわっとした表現は理科では通用しません。
理科の記述は“用語力”で点が決まる部分が大きいのです。
✕「物が変わった」→ あいまい
◎「物質が化学変化によって別の物質に変化した」
教科書にある用語・定義の正確な使い方を覚えることで、「何となくわかってる」から「論理的に説明できる」状態へステップアップできます。
コツ④:「見たこと」ではなく「仕組み」を書く
実験観察に関する記述でよくあるミスが、「見たままの現象」を書いて終わってしまうこと。
✕「水に色がついた」
◎「インクが水に溶けて拡散し、色が全体に広がった」
現象の“結果”ではなく、“原因や原理”を言語化することが記述力の本質です。
コツ⑤:常に「誰かに説明するつもりで書く」
記述がうまい生徒は、「採点者(=他人)が読んで理解できるか」を意識しています。
- 主語を明確にする
- 文の構造を簡潔に整える
- 余計な情報は書かないが、必要な前提は落とさない
書いたあと、自分で音読してみて「これって伝わるかな?」と確認する習慣をつけると、自然と論理的な文が書けるようになります。
家庭でできる練習方法
✅ 毎日1問「記述だけ」練習する
理科の問題集には「記述式」の設問が必ず含まれています。
1日1問だけでもいいので、“手を動かして書く習慣”をつけることが重要です。
- できればノートに「問題→回答→なぜそう書いたか」をセットで書く
- 模範解答を丸写しせず、「自分の言葉」で再構成してみる
✅ 保護者ができる“見守り方”
- 子どもが書いた記述を音読させて「なるほど、そういうことか」と返す
- 「どうしてこう書いたの?」と考え方を聞いてあげる
- 間違っていても、「この部分は惜しい!」と伝える
理科の記述力は、“言葉で考える力”そのもの。
家庭でのちょっとした対話が、大きなトレーニングになります。
おわりに:理科の記述は、「公式」よりも「思考法」で差がつく
理科というと、用語暗記や公式演習のイメージが強いかもしれません。
けれども実は、本質的に求められているのは「わかりやすく説明する力」です。
公式を覚えるだけでなく、
現象を観察し、因果をたどり、言葉で伝える。
それは理科という教科の枠を超え、将来どんな職業についても役立つ思考のスキルです。
記述問題を「苦手」から「得点源」に変えるために、ぜひ今日から紹介した5つのコツを取り入れてみてください。
“理科の説明力”は、確実に伸ばせます。