英語長文が苦手な人がまず身につけるべき「型」とは?
─ 共通テスト・高校入試に効く、読む力の“構造化技術” ─
「単語はある程度わかるのに、文章になると理解できない」
「時間が足りなくて、後半の設問はいつも勘で選んでしまう」
「そもそも何をどう読んでいいのかわからない」
英語長文読解が苦手な生徒は、実は少なくありません。単語帳を完璧にこなしていても、文法問題が得意でも、「長文だけは苦手」という声は頻繁に聞かれます。
保護者の方も、「うちの子、単語も文法もそれなりにやってるのに、模試になると英語が伸びないんです」と相談に来られることがよくあります。
では、なぜ英語の長文読解はつまずきやすいのでしょうか?
結論から言えば、“読み方の型”を身につけていないからです。
この記事では、英語長文が苦手な中高生が、まず身につけるべき読解の「型」について、構造的にわかりやすく解説します。
英語長文は“スピード×精度×構造理解”で勝負が決まる
共通テストや高校入試の英語では、1つの長文につき数百語〜1000語以上の英文を読まされることがあります。
このボリュームに圧倒されるのは当然です。
しかし、得点できる生徒は、文章全体の“設計図=型”を頭に入れながら読んでいるのです。
つまり、読みながら「どこが重要か」「どこに主張があるか」を取捨選択している。
英語長文において、「全部を100%理解する」必要はありません。
必要なのは、設問に答えるための“情報処理技術”。
そのためには、「型=読み方のテンプレート」を持っておくことが絶対条件になります。
英語長文読解のための「3つの型」
ここからは、英語長文を読み解く上で最初に身につけるべき「3つの型」をご紹介します。
型①:トピックセンテンス重視型
→ 各段落の1文目を「最重要情報」として読む
英語の文章では、段落の最初に主題文(トピックセンテンス)を置くのが原則です。
例:
Many people believe that social media has a positive influence on society.
(多くの人々は、SNSが社会に良い影響を与えていると考えている。)
この1文がその段落全体の内容を予告しているのです。
つまり、段落ごとに1文目だけでも正確に読めれば、本文の全体像をざっくりとつかむことができます。
練習方法:
- 段落の1文目だけを抜き出して、日本語で要約してみる
- 全段落のトピックセンテンスを並べて、文章の流れを整理してみる
型②:設問誘導型
→ 問いを先に読んで“読む目的”を明確にする
苦手な人ほど、「本文を最初から全部読んで、設問に答える」という読み方をしてしまいがちです。
しかしそれでは、時間も集中力も無駄に消費してしまいます。
上級者は、設問を先に読むことで、「何を探しながら読むか」を意識しています。
例:
What is the author’s main opinion about online learning?
この設問があるなら、「筆者の意見」に関連する表現(I think, In my opinion, It seems that)に注目して読むべきです。
設問が「本文を読むコンパス」になる。
これが設問誘導型の本質です。
型③:キーワード・指示語トラッキング型
→ “このthatは何を指すのか”を追いかける
多くの英語長文では、“it” “this” “that” “these”などの指示語が頻出します。
これらが何を指しているかを正確にたどれるかが、読解のカギになります。
さらに、“but” “however” “on the other hand”などの逆接表現にも要注意。
逆接の後には、筆者の主張や重要な対比が隠れていることが多いからです。
練習方法:
- 長文に出てくる指示語に印をつけ、何を指しているかメモする
- 接続詞の前後で、意味がどう転換しているかを確認する
読解が苦手な生徒の共通点は「読み方の無自覚」
成績が伸びない生徒ほど、「ただ何となく読んでいる」状態になりがちです。
- 全部訳そうとする
- 辞書を何度も引く
- 単語ごとに意味を当てはめていく
これではスピードも落ち、内容の把握もできません。
英語の長文は「翻訳作業」ではなく、「構造把握と情報収集の競技」です。
保護者ができるサポートは?
英語長文読解に苦戦している子どもに対して、保護者ができることは以下のような“環境づくり”です。
- 長文を毎日5分でも読む時間を固定する
- 勉強のあとに「今日はどんな話だったの?」と軽く内容を聞いてあげる
- 時には「一緒に設問を見て、どこに答えがありそうか探そう」と声をかける
英語は「読めるようになった」という感覚が得られにくい科目だからこそ、継続と小さな承認が支えになります。
おわりに:「型」を知れば、長文読解は必ず伸びる
英語長文は、「センス」で読めるようになるものではありません。
むしろ、構造を押さえ、設問の意図を読み解き、情報をピックアップするというスキルの積み重ねです。
そのために必要なのは、今回紹介した3つの「型」:
- トピックセンテンス重視型
- 設問誘導型
- キーワード・指示語トラッキング型
この「読解の3種の神器」を武器にすれば、どんな英文も“構造的に読み解く”ことができるようになります。
今日からは「とりあえず読む」のではなく、「地図を片手に読み進める」ような読解を意識してみてください。
英語の長文が「ただの壁」から「攻略可能な迷路」に変わっていくはずです。